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「銀行業務の中で、経済にとって絶対に不可欠な側面に注力することが重要です。」
ジョン・ピース、 会長

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グループ会長および最高経営責任者よりご挨拶

2009年、当行は、1銀行として持続可能な事業を構築し、それと同時に株主のための価値を創出し、さらには、お客様をサポートし、私たちが生活し、仕事を行う地域社会に貢献するよう、常に全力で取り組みました。こうした取り組みは、150年以上にもわたって、アジア、アフリカ、中東全体における当行の戦略と成功を支えてきたものであり、当行の将来にとっても基盤となるものです。

持続可能な事業の構築に向けた当行の取り組みからは、大まかにいって次の3つの好ましい成果が実現します。それは、実体経済への貢献、持続可能な金融の促進、地域社会の先導です。

実体経済への貢献+

世界的な金融危機の底は脱したとみられる一方で、real economy今もなお明らかにその影響に苦しんでいます。世界のほとんどの地域で失業率が大幅に増加し、世界経済は今もなお、回復が難しく痛みを伴うマクロ経済の不均衡に苦しめられています。また、危機発生以後私たちが目にしてきた、政府や中央銀行による金融と財政両面からの大掛かりな(ただし持続不可能な)景気刺激策がなければ、経済の回復を維持できるかどうかは全く不透明です。持続可能な成長について見通しが不透明な状況下では、信頼感の脆弱さも当然視されます。このような状況において、当行は金融システムに対する信頼回復と、実体経済の回復支援にその役割を果たさなければならないと考えます。

それには、過去の過ちを正直に、そして厳しく認める必要があります。経済において銀行の果たす重要な役割を明確に示す必要もあります。さらには、規制機関だけでなく銀行自身、慎重に、かつ優先順位を決めて行動を起こす必要もあります。私たちは、銀行に対する信用と信頼の再構築に向けて迅速に行動しなければなりません。また、信用の流れを回復しなければなりません。

2009年、当行はお客様への貸付額を230億米ドル増加させました。また、抵当貸付額を100億米ドル増加させたため、さらに多くの人々が当行のリスク基準について譲歩することなくマイホームを購入できました。当行のポートフォリオの平均融資比率は52パーセントです。また、 中小企業への貸付額も144億米ドルまで増加させました。 雇用創出の観点から経済の最重要セクターとされる部分への支援では20パーセントを超える増加です。

開発途上国に対し積極的に貢献しているもう一つの側面は、金融サービス面での関わりです。世界には金融サービスを全く利用しない人やそれに関して十分な知識を持っていない人が多数います。3年前、当行はClinton Global Initiative(クリントン・グローバル・イニシアチブ)に参加しました。経済成長の担い手としての貧困から脱却を目的に、 2011年までにアジアとアフリカのマクロファイナンスマイクロファイナンス金融機関に対し5億米ドルの提供を約束しました。今年、当行は予定よりも2年早くこの目標を達成しましたが、今後とも支援を拡大していく予定です。

しかしながら、信用供与だけが、経済や社会に対して広範に価値をもたらす唯一の方法ではありません。このほかにも、世界の貿易や投資の流れ促進を通じて、日用品、金融商品の市場育成のほか、ますます不安定化する世界情勢の中で当行の取引企業のリスク管理を支援するなど、さまざまな重要な役割を果たしています。

例えば、世界有数の貿易銀行として取引企業の支援という難題に進んで取り組んできました。、これら企業の多くは需要の崩壊や貿易金融確保の難題に直面していました。当行は世界銀行グループの国際金融公社(IFC)とともに、Global Trade Liquidity Programme(世界貿易流動性プログラム)の創設に取り組みました。同プログラムは、発展途上国において貿易金融の提供を妨げている流動性上の制約緩和を狙う画期的な計画です。当行は取り決めに基づき、IFCとの12億5千万米ドルに及ぶ提携に署名しました。また、同様の基本的な目標を掲げるInternational Development(国際開発)のために、OPECの基金との間に5億米ドルに及ぶリスク・パーティシペーション・プログラムの契約にも署名しました。全体として、2009年には490万米ドルの貿易取引を行い、世界貿易の維持に貢献しました。これは世界経済の回復にまさに不可欠なものと言えます。

実体経済に積極的に貢献するということは、さまざまなリスクを背負うということにもなります。貸付を行うと、リスクを背負います。市場を形成すると、リスクを背負います。銀行が背負うリスクのうち、おそらく最も誤解されているのが、「ミスマッチリスク」です。短期の借り入れで、長期の貸し付けを行うというリスクです。本来リスクの高いものですが、銀行として実体経済に貢献する場合に最も強力な方法の一つでもあります。銀行が短期の借り入れで、長期の貸し付けを行うため、他業界にはその反対の事象が起きるのです。これにより、企業が活性化し、企業による投資や成長が可能になり、消費者に購買力が与えられるのです。

銀行業務からリスクをなくそうとするのは誤りです。銀行がリスクを負わなければ、実体経済を支援することはできません。重要なのは、これらのリスクを把握し、 資本と流動性資産が背負うリスクに見合うものにするということです。今回の金融危機で破綻した銀行ではこれが実践されていなかったのです。このような銀行の場合、管理方法だけでなく、規制の枠組みにも欠点があったのです。当行は優れたガバナンス、優れた規制の実現を目指す動きを全面的に支援します。

持続可能な金融の推進+

金融危機は、世界がいかに相互に依存し合っているかを劇的に実証しました。同じことが広義で、の促進気候変動と環境問題にも当てはまります。このような問題を単独で解決できる国も、このような問題に影響を受けない国も存在しません。当行の市場では、空気、水、食料、エネルギーの問題が地域社会の健康と繁栄とを直接脅かしています。また、異常気象が強まって、開発が妨げられ、生命が奪われています。

当行は、資金提供するプロジェクトにおいて環境問題を必ず考慮し、環境問題の解決に資金を用意することを通じて、これらの問題への対応に貢献できると確信しています。例えば、赤道原則(赤道原則)への取り組みや当行独自のセクター・ポジション・ステートメント(セクター基本方針説明書)は、広範囲に及ぶ社会的影響や環境への影響を考慮しつつ、確実に責任を持って資金を供給する指針となっています。当行はクリーンで再生可能なエネルギーのプロジェクト向け80~100億米ドルの資金供与をClinton Global Initiativeに約束していますが、有望な環境問題解決を支援したいという当行の願いがその背景にあります。

とはいえ、支援対象の決定にあたり、私たちには厄介なトレードオフの問題を避けて通れないことを知らなくてはなりません。環境リスクを伴うプロジェクトが貧困に苦しむ地域社会において大規模な雇用を創出する可能性もあります。その一方で、低炭素エネルギーを生むイニシアティブも、地元地域の環境に悪影響を及ぼす可能性があります。世界規模の成功事例が不十分な計画が現状に対して大きな進展をもたらす可能性もあります。当行が行うすべての決定にあらゆる人々が賛同してくださるとは考えていません。なぜなら、このような判断やトレードオフの問題には本質的に厄介で不透明なものもあり、人によってそれを捉える視点も異なるためです。しかしながら、当行は熟慮を重ねた上でこのような決定を下しており、それらに対して責任を負う準備はできています。

コミュニティを先導する +

当行は今回の金融危機では早い段階で一つの決断をしました。この混乱によって、Seeing is Believing(視覚障害者支援プログラム)Nets for Life(命を救う防蚊ネット)Living with HIV(HIV教育プログラム)など、当行の地域社会プログラムへの取り組みに支障を来たしてはならない―という決断でした。現実に当行は過去12ヶ月において、これらの取り組みを一層強化、拡充を図り、素晴らしい成果を挙げました。当行が推進中の回避可能な視覚障害撲滅キャンペーンSeeing is Believingには500万米ドルの資金を調達しました。当行はHIV感染の回避方法に関する教育を行うために、100万人からの誓約を取り付けるという目標を達成し、さらにこの誓約の取り付けを積極的に継続しています。また、マラリア撲滅を支援するために、60万張を超える蚊帳を配布しました。当行は、発展途上国の恵まれない少女たちを対象に、ネットボールに参加することを通じて、お金に関する識字能力など生活に欠かせない技能を身に付けさせる教育プログラム(予備計画)であるGoalを進めており、その成功を受けて、さらに同プログラムをバングラデッシュ、ヨルダン、ナイジェリア、インドネシアの10万人の少女たちに拡大しているところです。

当行の従業員にたいしては、「何」を提供するか「だけでなく、「どのように」提供するかも重視するよう促し、その権限を付与することにより、自身が生活し仕事を行う地域社会に対し自分の役割がどれほど影響を及ぼしているか、また変化をもたらすために個人として何ができるかを一人ひとりが考える企業文化を育むよう努めてきました。これには、当行のHIV教育プログラム(Living with HIV)の“チャンピオン”としてのボランティア活動や、環境に関する地域の取り組みへの参加、あるいは当行の金融犯罪撲滅への取り組みに反するとされる取引の摘発―などがあります。

当行では自身が事業を営む市場に前向きの変化をもたらすよう努力するにあたり、当行一人ではこれを達成できないと理解しています。そこで、地域社会への投資プログラムや環境保護イニシアティブの成功に不可欠の要素として、非政府組織(NGO)、政府、企業との協力関係を考えています。

私たちが生活し仕事を行う地域社会において望ましいパートナーであるからこそ、その地の人々が手を貸してくれるのであり、それが取引企業、お客様からの当行に対する信頼につながるのです。

当行は2009年の成果に誇りを感じています。当行は自らの強みと回復力を改めて実証しました。記録的な収入を背景に、記録的な利益を達成ました。引き続き資本と流動性を強化しました。取引企業、お客様への融資を拡大しました。金融危機の打撃を受けなかったわけではありませんが、危機によりさらに強くなって生まれ変わりました。

当行の成功は次の3つの理由によるものと考えます。まず、中核とする戦略、すなわち当行が熟知している市場、当行が親密な関係を築いてきた取引企業業やお客様、そして当行が徹底的に理解している商品に注力するという戦略を継続したことです。次に、銀行業務の基本、つまり、資本、流動性、リスク、そして原価基準の管理方法を常に重視したことです。最後に、当行の企業文化と価値観に忠実であり続けたことです。明確な戦略と強固なバランスシートで、当行は事業を展開しました。

しかしながら、私たちはさらに多くを学ばなければならず、また、常に進歩が可能であることを認識しています。だからこそ、常に実績を厳密に再検討し、向上を続けるために新たな目標を定めているのです。

私たちが経験した危機は、銀行にとってサステナビリティ(持続性)を重視の方向にはもはや選択の余地がないことを意味しています。私たちは当行のビジネスモデルが持続可能であることを証明しなければなりません。そして、持続可能な成長と発展に積極的に貢献していることを実証しなければなりません。また、サステナビリティ問題に対する認識が、事業運営の中に深く組み込まれていることを明らかにしなければなりません。当行はこのような難題に立ち向かってきました。銀行の機能は活気に満ちた世界経済の回復には欠かせません。銀行は経済と社会の発展に大きく貢献できるのです。取引企業、お客様、投資家、規制機関など当行の市場におけるステークホルダーである皆様と、当行の従業員に対するコミットメントは、「Here for good (この地に永久に)」です。

ジョン・ピースの署名

ジョン・ピース

会長

ジョン・ピースの署名

ピーター・サンズ

グループ最高責任者

Here for good(この地に永久に)

当行のコミットメント:Here for good(この地に永久に)

スタンダードチャータードは、2010年に「Here for good(この地に永久に)」という新しいブランド・プロミスを発表します。当行は、引き続き堅調な業績を背景に、これまでに築き上げた歴史、伝統、業績、企業文化を活かして、時空を超えて当行に対する認識、知識を大いに高め、事業の成長を推進する考えです。

「Here for good」は、スタンダードチャータードの過去、現在、そして未来のすべてを具現化しています。これは、当行の歩みに対するコミットメント―「この地で長くあり続けるために」―意味します。すなわち、アジア、アフリカ、中東において常に先導的役割を担い、取引企業やお客様にその知識と経験から得る利益を提供すること―その責任ある行動に対するコミットメントが、「この地で進歩のために」なのです。常に正しいことを行うよう努め、高度な行動規範を維持すること―その取引企業、お客様に対するコミットメントが「この地で人々のために」なのです。そして、人々と事業との長きにわたる関係を真に大事にするコミットメントです。

「Here for good」は、世界の主要メディアに発表される予定ですが、リバプールFC(リバプール・フットボールクラブ)とのスポンサー契約と合わせて、堅実な投資収益を期待しています。また、さらに多くの方々にお取引先、お客様に対する当行の資金提供の実態についてご承知、ご理解をお願いするとともに、このブランドが当行の戦略的課題履行に当たって一段と強力な役割を果たせるよう願う次第です。

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2009年度年次報告